2013年01月25日

ルーマン社会システム理論 ゲオルク・クニール(4)

ゲオルク・クニール「ルーマン社会システム理論」の四回目です。
前回は、ヴェーバー、デュルケームへのシステム理論からの批判という内容をまとめましたが、今回からは第三章に入ります。三章のタイトルは「社会システム理論」となっております。
ここからが本題といった感じでしょうか。

なお、このまとめの概要は私の運営しているwiki「講義ノートProj」にも、掲載する予定です。そちらでは、理系の分野のまとめもお香予定ですので、興味があればどうぞ。記事を載せたい方も募集しております。


過去の記事に関してはルーマン社会システム理論-ゲオルク・クニールのタグを参照ください。

ルーマン 社会システム理論 [「知」の扉をひらく]

新品価格
¥2,625から
(2013/1/1 10:02時点)


概要
社会システム理論と普遍性への要求
・彼(ルーマン)の仕事は統一的な動機によってつながれている。
→ルーマンの意図は、一般社会システム理論についての考察に結びつけて、社会学の普遍的な理論を定式化することにある。

・ルーマンは普遍性への要求を掲げているが、絶対性を要求してはいない。
→この理論は、社会学の対象全体をシステム理論的な概念をもって記述しようとする。
→「普遍性ということによって主張されているのは、あらゆる事実・・が、システム理論的に解釈されうるということでしかない。システム理論が・・唯一正しい社会学理論であるとか・・・いっているわけではない」

・以前にも、社会学の内部にはシステム理論という概念的手段をもって記述し分析しようとする企てが存在した。そのうちで最も知られているのが、パーソンズの仕事である。

・ルーマンのアプローチはパーソンズの構造-機能主義的理論に対して、はっきりと一線を画すものであった。

ルーマンの理論的発展における二つの段階
・ルーマンのこれまでの著述を概観すると、二つの段階がはっきりとくべつされうる。
→第一段階は60年代初めから80年代の初めないし半ばまでである。1984年に公刊された「社会システム-一般理論概要-」を栄にして第二段階が始まる。

・「社会システム」は、社会システム理論の基本的概念についてこれまで最も綿密な説明が行われている。
→そういうわけで、われわれはこの入門書の重点を社会システム理論の現在のアクチュアルな形態に置くことにする。

1.機能-構造的システム理論
パーソンズからルーマンへ
・パーソンズの社会学的システム理論の批判と継承がルーマンの考察の出発点になっている。

・パーソンズは、トマス・ホッブスによって提起された古典的な問いから出発していた。それは「人間の共同生活、したがってゲゼルシャフト的秩序はいかにして可能であるのか」という問いである。
→パーソンズは社会秩序の問題の主意主義的解決を答えとして提出している。
・ゲゼルシャフト的秩序は価値についての一般的コンセンサスを基礎としている。

・社会秩序の成立についてのこうした考察を、パーソンズは一般的行為システム理論の方向へと展開させた。

・行為のそれぞれの具体的統一性は、社会秩序のそれぞれの携帯と全く同様に、文化的要因と社会的要因と人格的要因が寄り集まってはたらいていることから生じた結果である。
→この参考図式の内部で支配的な影響力をもつのは文化システムである。
→共有された文化的な価値と規範は社会的な行為の経過を制御し、構造化しそうすることによって共通な共同生活を保証する。

・彼が関心を寄せているのは、社会的に形成されたものが未来においてもその存立を確保するためには、どんな特殊な働きが実現されなければならないかという問いである。

・構造-機能的システム理論は、特定の構造をもった社会システムを前提としており、社会的に形成されたものの存続を保証するためにはどんな機能的なはたらきが必要か問おうとする。
→批判者たちはシステム理論に対して、隠れた保守主義の肩を持つものだと言って非難している。
→ラルフ・ダーレンドルフ「彼の理論は、静的な、構造のカテゴリーから出発しており、そのために社会的なコンフリクトの過程を否定するか、さもなければ適切に扱えない」
→ルーマンの考察はこの点からはじまっている。

・彼(ルーマン)はシステム理論の道具を改良し一般化することによって、パーソンズの理論の欠陥を克服しようとするのである。
・「欠陥からはじめるのではなくて、この欠陥を生んだ根拠から始めなければならないだろう。そのようにしてのみ、統一的な社会学理論の目標を見据えて、この目標に到達するための手段を改良することが可能になるのである」

ルーマンの機能-構造的社会システム理論(1)システムと環境
・パーソンズのアプローチに対するルーマンの批判は、社会学の対象領域全体をカバーするという要求に忠実な社会システム理論の感性を目指している。
→この目的のためにルーマンは、構造と機能という二つの概念の関係を転換させている。
→彼は昨日概念を構造概念に優先させ、それ以後は機能-構造的システム理論という言い方を採用している。

・パーソンズのアプローチに対する二つの内容的な修正
・第一に、機能-構造的システム理論は、社会システムが集団の共有する、拘束力を持った規範と価値の範型を、常にみずから管轄下においていることからは出発しない。
→社会システムがもはや、とtくていの価値範型や構造範型によっては定義されないということを意味している。
・ルーマンの理解からすれば、社会システムとは互いに指示し合う社会的行為の連関のことである。
→互いに有意味に指示し合うすべての行為は、そがぞれの社会システムに属し、それ以外のすべては、環境に属する。
→したがって、システム概念にとって本質的なのは、内と外の分化[差異化]を可能にする境界という概念である。

ルーマンの機能-構造的システム理論(2)等価機能主義
・第二に、機能-構造的システム理論は、社会システムが代替不可能な特殊なはたらきに必然的に依拠しているという仮定を斥ける。
・社会システムは、システムの特定のはたらきがなくなれば、存在することを無条件にやめるというものではない。

・構造-機能的システム理論から機能-構造的システム理論へと移行するとともに登場するのは、「どの機能がシステムの特定のはたらきを実現し、この働きはどの機能的に等価な可能性によってとって代わられうるか」という問いである。

・ルーマンによれば、昨日分析は原因と結果との因果関係の発見には関心をむけない。それが目指すのは、むしろ問題と問題解決との連関である。

システムと環境との統一としての世界
・ルーマンは、もろもろのシステムの編成と変動とを等しく機能的方法の助けをかりて分析することによって、システムの存続問題をのりこえる。機能分析の最高の準拠単位は、システムの存続ではなく、世界なのだと説明される。

・すべてのものはシステムであるか環境であるかのいずれである。こうした自体の唯一の例外をないしているのが、世界である。
→世界はシステムではない。なぜなら、みずからを限界づける外的なものをもっていないからである。
→世界は、システムでも環境でもない。システムと環境の統一である。

社会システムによる世界の複雑性の縮減
・こうして、ルーマンにおいては、世界、あるいはもっと正確には世界の複雑性が、機能的分析の最高の準拠問題となる。
・複雑性とは、さしあたり、ありうべき出来事や状態の総体を意味する。
・状態の数、あるいは出来事の数とともに、それらの状態や出来事の間に生じうる関係の数も増大し、それと同時に複雑性が増大する。

・世界の極度の複雑性は、人間の意識にとって、あるがままの形態では把握できないし、経験できない。
→ありうべき世界の状態や出来事は、人間の複雑性受容能力にとっては荷が重すぎるのである。

・社会システムは複雑性の縮減という課題を引き受ける。
→こうして、社会システムは、世界の無限定な複雑生徒ここの人間の複雑性処理能力とのあいだを媒介するのである。

・複雑性の縮減とは、ありうべき状態や出来事を解体すること、あるいは減少させることをいう。
・社会システムはさまざまな可能性を排除することによって、世界の複雑性を縮減する。
→歯科診療という社会システムのなかで実現される行為の可能性を考えると、治療中、患者に三品の料理が供されるなどと予想することはできないだろう。

・システムと環境、内と外との境界は、同時に複雑性の落差を表している。環境はつねにシステムよりも複雑である。

・「システムの形成はシステムと環境とのあいだの境界を安定化させることによって実現される。その環境の内部では、より工事の価値的秩序がより少ない可能性(つまり、縮減された複雑性)によって、不変なものとして維持されうるのである。」

システム固有の複雑性と世界との関係
・社会システムが世界の複雑性を縮減しうるためには、システム自身が一定の複雑性を示していなければならない。
・システムは、複雑になればなるほど、反転する環境の要求に適合した反応をしめすための、より多くの可能性を持つようになる。
→だから、機能-構造システム理論も最終的にはシステムの存続維持の問題を無視するわけにはいかなくなる。

・世界の複雑性を対象とし処理するシステムの能力は、まず第一に、ありうべき固有の状態の数によって規定される。
・それぞれの社会システムは世界の一断片しか経験することができない。ところが、その断片の大きさは、どれだけの数の状態がシステムそのものの中に入れられるかによって規定される。
・世界の複雑性という概念は、存在の状態ではなく、システムと世界との関係を指し示めすものである。

・世界はそれ自体において複雑なのではない。世界を複雑性の縮減によって処理しようとするシステムのし座から見たときのみ、世界は複雑なのである。

三つの社会システム-相互行為、組織体、ゲゼルシャフト
・いくつかの具体的な行為システムに目を向けることにしよう。
・ルーマンによれば社会システムは三つの特殊なタイプに区別される。相互行為システムと組織体システムとゲゼルシャフト・システムとが、それである。

・相互行為システムは、そこに居合わせている人たちが行為することによって成立する。そこに居合わせている人たちというのは、互いに目の当たりにしている諸人格のことである。

・組織体システムは、行為システムの第二のタイプをなしている。社会システムは、その構成員がある一定の条件のものに結び付けられている時に「組織されていると言われうる。
→組織体は、構成員に適用される規則を用いて、「高度に作為的な行動様式を、かなり持続的に再生産する」ことができる。

・ルーマンがゲゼルシャフトと言っているものは、最も包括的な社会システムのことである。
・ゲゼルシャフトは、あらゆる相互行為システムと組織体システムの総和以上のものである。
→ゲゼルシャフトは「より工事のシステム。別のタイプのシステム」をなしている。

・普遍主義的アプローチは、その狙いをゲゼルシャフトという社会システムだけに限定することはできず、三つのタイプのシステムの全てに目を配らなければならない。

社会学的啓蒙のプログラム
・複雑性の縮減という定式をルーマンは自分自身の仕事にも要求して、機能-構造的理論にとって問題なのは「世界の複雑性をとらえ縮減する人間の能力を拡大すること」であるといっている。
→ルーマンはこのような理論的関心を社会学的啓蒙と読んでいる。

・理論は社会システムについての一定の観察を定式化するが、この観察は同時に自分の理論にも当てはまる。
・一切を説明しようとする理論は、自分自身をも説明しなければならない。

ハーバマストの論争
・ルーマンの関心は、一部で激しい非難を呼び起こした。
→ルーマンは、つまるところ社会工学的保守的な関心を定式化したのだといって避難された。

・ハーバますによれば、「世界の複雑性の縮減を社会科学的機能主義の最高の準拠点として正当化しようとする企て」の背景には「支配に従順な問いの立て方をする義務、つまり既存のものの存立を維持するための弁護を、理論にひそかにおわせようとする態度」が隠されているという。
→ルーマンは、機能-構造的理論が議論している思考のレベルを誤認していることを指摘。ハーバますは科学的な理論を政治的な概念によって批判している。

大きな流れ
パーソンズの理論の分析から出発したルーマンは、普遍的な理論を目指して構造-機能的システム理論から、機能-構造的システム理論への転換を図る。そこでは「システムと環境の区別」「等価機能主義」という視野が与えられ、さらに世界の複雑性の縮減ということに目が向けられる。
ルーマンは、社会システムを、相互行為システムと組織体システム、ゲゼルシャフト・システムという三つの特殊なタイプに区別する。それら三つは並列的な関係であり、すべてに目を配らなければならない。
ルーマンの理論は、普遍主義的な要求に応えるため、理論それ自身をも視野にいれ理論は「世界の複雑性をとらえ縮減する人間の能力を拡大」することを担っているという。

論点
社会システム理論の重要な概念である「複雑性の縮減」ということを中心に述べられているセクションでした。人の処理能力には限界があり、(システムの視座から見て)複雑な世界の複雑性を縮減しなければ、そのままでは把握もしくは経験ができないと述べています。
これに関して論点を一つ与えておきたいと思います。
「複雑性の縮減」はどこから?
本書では社会システムは、世界の複雑性を縮減すると述べています。これはどこから来るのでしょうか。
もちろん、人間にとって認識できることは、世界で起きていることのごく一部であるということや、その中から何らかのフィルタリングながなされて理解できる形でのみ理解しているということに関してはかなり説得力があると思います。これは「観察から」そう思えるという話です。
ここで、(人間や有機体システムではなくて)社会システムが複雑性の縮減を行っているというのも観察からくるものなのでしょうか。
たしかに、歯医者の例を考えると一定の規範と価値が行動を制御し複雑性を縮減しているように思えます。
一方で、読み方によっては、これは社会システムの定義であって、社会システムと呼ぶにふさわしいものが満たすべき定義だとも読めます。
ですから、会社が組織体システムであるのは、この複雑性の縮減を行っておりまたほかの諸条件をみたしているからであると考えることができるというこのなのか。
あるいは、その両方で、社会システムという言葉で想像されるものは、(観察すると)すべて複雑性の縮減という機能をおっており、また、そのように考えて社会システムというものの定義を抽出しようとすると複雑性の縮減という機能を持っていることを条件とするということなのか。


第三章の1.機能-構造的システム理論に関しては以上です。



posted by きょうよくん at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。