2013年01月16日

ルーマン社会システム理論 ゲオルク・クニール(3)

今回は社会システム理論に関する書籍「ルーマン社会システム理論」(ゲオルク・クニール)の第3回目です。
範囲は二章の2.「社会学における全体論的な考え方とシステム論的な考え方」です。

で張り切ってまとめていきましょう。

システム論の他の書籍に関してはこちらの記事を参考にしてみてください。


過去の記事に関してはルーマン社会システム理論-ゲオルク・クニールのタグを参照ください。

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概要
ヴェーバーとデュルケーム
・社会学の理論は、誕生したときからある論争の影響をうけていて、今日にいたるまで、専門の理論家たちは二つの陣営に分かれている。
→一方には主観から出発する方法的な進み方があり、他方には主観よりも客観すなわち社会のほうに準拠した進み方がある。

・社会学の二人の古典的理論家にそくして、出発点の相違を説明することにしよう。我々がとりあげるのは、マクス・ヴェーバーとエミール・デュルケームである。

・ヴェーバーによる社会学の定義は次のようなものである。社会学は「社会的行為を解釈しつつ理解し、そうすることによってその行為の経過と結果を因果的に説明する」学問である。
→ヴェーバーは社会学に個性記述的な学問と法則定立的な学問との中間的位置を与えるのである。

・個性的術的な学問は、文化的な営みを跡付けて解釈し、その成立連関を理解しようとするものである。
・法則定立的な学問は、普遍妥当的な法則を求め、それによって個別現象を説明しようとするものである。

・社会学は、ヴェーバーの考え方からすると、そのような個人の文化的な営みが互いに関係づけられ、社会的な行為として、いつでも受けての地平の中で社会的(ソーシャル)な結果と全社会的(ゲゼルシャットリッヒ)な原因に眼を向けながら行われるときに、はじめて始まるのである。
→しかし、彼にとっては「主観的に思い込まれている意味」が決定的に重要な方法上の出発点となっている。

・デュルケームにとってとりわけ重要なのは、行為の心的現実性に力点を置く社会学的思考を放棄することである。彼にとっては、社会的事実の相互作用こそが決定的に重要な出発点なのである。
・社会秩序は、デュルケームによれば、諸主体にとって外的なものが存在し、それが諸主体のそれぞれの行為を互いに関係付けるときに成り立ちうる。したがって、社会秩序は集合意識の相関者である。

・デュルケームが社会理論家として見据えているのは、そこに浮かび上がってくる心的状況ではなく、そうした心的状況を可能にする条件としてそれに先立っている社会的事実である。

社会学におけるシステム理論的思考
・われわれは、個々の行為や行為の担い手から出発して、主体をどうきづける力や原因の論理によって、諸主体的に共通なもの、諸主体をむすびつけるものを推論していくことができる。しかし、われわれは、ここの要素、この場合には個々の社会的行為を、相互に作用する関係の表現として理解し、この関係を社会学の本来の対象とすることもできる。
→伝統的な科学観に対する一般システム理論からの批判は、伝統的な科学観が個々の現象を互いに切り離し、それらの現象の可能性が相互に制約し合っていることを研究しなかったという点にあった。行為の連鎖のなかで起こることは、個人によってはもはや制御されえない固有のダイナミクスを展開している。

・社会的現実は個々の要素の総和以上のものであるという定式が、ここでも妥当している。

・社会額におけるシステム理論的思考は、社会的行為が社会的連関の個別要素としてとらられるとこのに始まる。

・社会システムとは、行為の共通性を組織し、社会過程にひとつの形態、ひとつの方向、ひとつの構造をあたえるもののことである。ゲゼルシャフト、家族、結社、組織、政党、議会、企業、信仰団体

パーソンズの構造-機能的システム理論
・ルーマンの師であるパーソンズによって30年代以来展開してきた構造-機能的システム理論の中心を占めているのは、構造という概念である。
→この概念は「システム-環境-関係にみられる、短期的変動から独立なシステム要素に関係している」

・パーソンズは機能という概念を構造から区別している。
→機能という概念は、社会システムのダイナミックな局面を、すなわち、変動する環境のなかでシステム構造の維持と安定性を保障するような社会過程を指し示している。

・構造-機能的理論は行為過程を制御する構造的な枠組みを示し、どの行為がシステム維持の機能を果たすのか、どの行為がその障害になるのかを、機能分析によって決定することができる。

・パーソンズは構造の維持に必要な機能を示すひとつの図式を展開した。それによればmすべてのシステムは四つの基本的機能を果たさなければならない。すなわち適応、目的達成、統合、構造維持の四つ(AGIL)がそれである。

・このタイプの社会学が、社会の基本単位、すなわち、社会的行為、コミュニケーション、相互行為などをバラバラに考察するのではなく、ひとつのシステム連関の構造的及び機能的な枠組みの中に組み込むのだということをはっきりさせておく。

大きな流れ
ヴェーバーにとっては、「主観的に思い込まれている意味」が、デュルケームにとっては、社会的事実の相互作用こそが、社会学の出発点とされる。
一般システム理論から伝統的科学観は、個々の現象を互いに切り離しており現象の可能性が相互に制約しあっていることを研究しようとしなかった点を批判される。
一方パーソンズによる構造-機能システム理論は、それらをバラバラに考察するのではなくひとつの枠組みの中に組み込んだ。

論点
古典社会学の二大巨頭ヴェーバーとデュルケームに関する考察が主である節でした。
新しくでてきた用語や、同義に思えるが違う表現をされてる語句が多くてわかったようなわからないようなという状態の方も多いのではないでしょうか。
いくつか論点をあげます。
・社会的行為とは
社会的行為あるいは社会的な行為に関する明確な説明はここではなされていないにもかかわらず多く用いられているので定義を考えたいとおもいます。
「社会的」というのは辞書的な意味だと「社会にかかわりがあるさま」とあります。つまり、社会的な行為は「社会とかかわりのある行為」ということになるでしょうか。
本文中にも「彼(ヴェーバー)は、文化の営みを個々の人間の創造性や努力といったようなものによる孤立的な現象として考察することを避けようとしたのであろう。社会学は、ヴェーバーの考え方からすると、そのような個人の文化的な営みが互いに関係づけられ、社会的な行為として、・・・行われる時に、はじめて始まるのである」とありますので、「個人の文化的な営みが関連付けられ」ることが社会的行為の必要条件と読み取れます。
つまり、少なくとも「他者に影響を及ぼさない真空状態のような行為」ではない行為でなければなりません。辞書的な意味と考えて良さそうです。
・デュルケーム批判
デュルケームによる記述をみると、彼の社会学のすすめかたは「主観よりも客観すなわち社会のほうに準拠した進み方」であって、彼は、「社会秩序は、諸主体にとって外的なものが存在し、それが諸主体のそれぞれの行為を互いに関係付けるときにのみ成り立ちうる」と考えていたとあります。
これは、前節でもふれた、個別現象(この場合、心的状態)には還元できない総体(この場合、社会)としてのみ表現できるものがあるという考えに沿っているようにみえます。
(本書から読み取れない解釈はできるだけ触れないか他所にかきたいと思いますが、上の点に関して
「オートポイエーシスの黒板」様(http://blogs.dion.ne.jp/autopoiesis/)の「オートポイエーシスとデュルケーム」(http://blogs.dion.ne.jp/autopoiesis/archives/10717596.html
という記事が参考になりますので紹介しておきます。)
ただ、「社会学におけるシステム理論的思考」のところで、「紹介した二つの社会学的思考の伝統は、いずれも社会的行為の本性を説明しようとするもの」であるが「われわれは、個々の要素、この場合には個々の社会的行為を、相互に作用する関係の表現として理解し、この関係を社会学の本来の対象とすることもできる。・・・社会的事実は個々の要素の総和以上のものであるという定式が、ここでも妥当している。」とあります。つまり、デュルケームにおいても個々の要素=個々の社会的行為の本性あきらかにしようとするにとどまり、その総和以上のものには触れていないというのがシステム理論からデュルケームへの批判ということになるのでしょうか。
あるいは、デュルケームのもちだした、「社会的事実の相互作用」や「連帯」はここでいう「総和以上のもの」にはあたらず、あくまでもニュートン物理学的思考でいうところ「世界を解剖しようとする企て」にすぎないのでしょうか。

二章に関してはここまでです。次回から三章「社会システムの理論」に入っていきます。

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posted by きょうよくん at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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